
ARTIST VOICE
Q:応募のきっかけは?
私は衣装制作や布地を用いた立体作品の制作を活動の主体としております。
そのため、表現方法に限りのない立体作品の展示募集をしているコンペティションを探していたのですが、その中でBrillia Art Awardを公募サイトで知り、応募に至りました。
Q:どうやって企画を考えたのですか?
私はこれまでに制作を行ってきた中で、個々の作品の良し悪しや意味合い以上に、これまで「作る事を続けてきた」という事や、「これからも制作を続けていきたい」という思いに対して強い関心を持っています。この考えの中には、成果から生じる事柄以上に、それらが成されるまでのプロセスの中にある「積み上げていく事や繰り返していく事」に対する強い思いがあるように感じます。このような思いを起点とし、積み上げていく事や繰り返していく事を、自身を含めた多くの人々が生きる日常の繰り返しとリンクさせることで、今回の企画が出来あがりました。
それらを表現すべく、小さなパーツが集まって構成された試作をいくつか作ったのですが、それらが種子や果実のような形として出来あがっていく姿を見て、これは行動や時間の積み重ねから形作られた収穫物であるという感覚を持ち、作品のテーマを「harvest」としました。
Q:作品に込めた想いを教えてください。
この作品は小さな鱗状のパーツが大量に連なり重なりあっていく事で形作られています。これらのパーツのひとつひとつは大きな作品全体の形状に対して、非常にシンプルな形を成しています。このような構造はコンセプトにも挙げたように、単調な日々が繰り返される事で固有の時間が刻まれていく事や、ひとりひとりの小さな行動の積み重ねがひとつの社会として大きな流れを動かしている様子などと重ねる事が出来るのではないかと思います。
このように、この作品を通して、繰り返される日常が積み重なり少しずつ状態が変化していく様子や、これまで生きてきた時間の積み重なり、社会の中の一個人としての自身の存在などに視点が傾けられるような作品になっていれば嬉しく思います。
Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
制作期間が限られている中で作品を完成させ、展示を完了させることが出来て本当に良かったと安堵しています。また、家族や友人に多くの場面で助けをいただいた事で作品を完成させることが出来たと思うので、制作の後押しをしてくれた全ての方々や自身の置かれた環境に心からの感謝を伝えたく思います。