ARTIST VOICE
Q:応募のきっかけは?
作品を展示する機会を探していたところ、芸大の友人から教えてもらい、このアワードを知りました。ここでは屋内の展示とは異なり、半屋外の展示が行われ、光と影の変化によって室内と室外の空間が曖昧になります。一日の光の変化と静かな雰囲気を体験することができます。これはユニークな点だと思います。そのため、今回の展示に応募しました。
Q:どうやって企画を考えたのですか?
このディスプレイは人通りの多い場所にありますが、展示が暑い夏の日において人々に静寂の体験をもたらすことを意図しています。繊細な竹で作られた展示空間の特徴を踏まえて、白昼の日光や夜の灯光によって投射された影の変化も楽しむことができます。光の差し込む角度や時間、周囲の物体によって、さまざまな光が干渉しテクスチャーを作り出します。普段気に留めないような光を新たな捉え方から変え、感じることのできない感覚を引き出しています。このようなデザインによって、人々は瞬間を大切にし、静寂な美の体験を得られます。
Q:作品に込めた想いを教えてください。
竹は伝統的な竹工芸品にとって単なる生活道具だけでなく、長い歴史を経て伝承されてきた文化でもあります。竹材の加工技術は主に手芸産業で行われ、編む技術も人類の手のできる範囲に限られています。
このデザインは竹の特性と加工方法に着目し、竹に含まれる独特な表現方式を考察しました。そして、伝統竹工芸をユニット化して基本構造を抽出し、レーザー加工と3Dプリンタを使って継ぎ手(パーツ)をデザインすることにより、竹の新しい接続方式の可能性を探求しています。このような取り組みによって、竹の伝統的な工芸技術を現代に活かし、より創造的なデザインを実現することが期待されます。
Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
このような大きな作品を製作するのは今回が初めてです。実際の設置中に経験不足から予想外の様々なトラブルが発生しました。作品の制作と設置に協力してくれた友人たち、そしてアワード運営の皆さんの様々なサポートに心から感謝しています。彼らの助けがあったからこそ、私は最後まで作品を最高の状態で展示することができました。