


宮下さんの作品は、まず、会社の人たちとの交流から始まるところが面白い。どんな服が来るかはお楽しみで、集まった後に制作は開始されるとのこと。枝のように広がる形態に服の部分が繋がれて行く。一つの社会を形成している人たちが服でつながって行くのはどんな気持ちなのだろう。ものが持つ記憶がつながって行くことが楽しいです。

いろいろな人が着てきた服が集まり、重なり合い、「根」のようなかたちになっていく。その姿がとてもあたたかく、印象に残りました。ひとりひとりの時間や記憶は儚くても、つながることで、この建物や社会、家族を静かに支えている。目には見えにくいけれど、確かにそこにある「支え合い」の風景を、やさしく感じさせてくれる作品だと思います。

アートは孤独だ
自分が見ようとする
自分が信じようとするものを
独りで創る
そこには誰もいない
その先にも誰もいない
宮下のこの作品は逆だ
他者がいて
他者の興味があって
そこにメディウムが生まれ
そこから作品が生まれる
孤独の木は
どんな花を咲かせるか
どんなルーツの花を咲かせるか

様々な生地によってカラフルな色に目が奪われてしまったが、よくみると樹木の根になっていることがわかる。樹木は地上の形と地下の形には相似点があると言われており、この作品の根の形状は縦に伸びていることから地上にも上に伸びる樹木が想像できる。
我々が生きている生活空間は地上であるが、先祖や歴史などが存在する世界は地下にあり、それらの相互関係によって一本の生命が存在する様は、作者の意図する太古からの繋がりによって現在があることを改めて視覚化された。