ARTIST VOICE
Q:応募のきっかけは?
布を用いた作品を展開するにあたって、多くの方々にご覧いただける屋内の展示スペースを探していました。多様な地域から人々が集う東京駅から徒歩数分という立地と、ショーウィンドウでの3ヶ月に及ぶ長期展示という条件は、私にとって理想的でした。
Q:どうやって企画を考えたのですか?
「根」のシリーズは、私の家庭にある衣服を扱い、自分のルーツを辿る表現から始まりました。その後、様々な衣服や繊維を提供していただくようになり、「それぞれの素材に宿る記憶や歴史を遡る表現」へと発展しています。
今回は、多様なバックグラウンドを持つ人々が行き交う八重洲という場所で、この土地に根ざす人々の衣服を素材とする作品を構想し、応募しました。
その結果、東京建物及び関係会社の皆さまから衣服をご提供いただけることになりました。
Q:作品に込めた想いを教えてください。
私たちは、それぞれ異なるルーツを持ちながら、お互いを支え合い、同じ大地のもとで共に生きています。
世界で様々な分断が深刻化している今、私たちを支える根のような存在に思いを巡らせ、それぞれの背景や立場を超えた繋がりが今後どのように育まれるのかを考えながら制作しました。
Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
作品の色彩は、集まった衣服によって決まるものでしたが、予想をはるかに超えて色とりどりの衣服が集まり、エネルギーに満ちた根が生まれました。
昨年から取り組んできた根のシリーズが、ありがたいことに様々な土地へ広がりつつあります。
それは、移住を繰り返してきた私自身の経験とも重なり、自分の分身ともいえる作品を通して各地の人々と交流できることが本当に嬉しいです。