


街中のショーウインドーに新しい商品が積み重なって展示されているのかと思うほどの完成度と、その色の美しさ。でも、よく見ると透視された旅行のカバン。いろんな思い出が詰まった中身に道ゆく人は何かを感じるかもしれません。記憶の中の楽しい時間が、仕事で忙しいオフィス街にちょっとしたヴァカンスの景色を思い出させてくれました。

空港のX線検査という日常的な行為を出発点としながら、その透過画像を立体へと置き換えることで、「見る」という行為そのものを問い直した着眼点が印象的でした。本来は情報として処理されるだけの画像が、一つひとつ異なる記憶や移動の痕跡を宿した造形として立ち現れ、鑑賞者に身近な風景を新たな視点で捉え直す契機を与えています。
透明感のある素材と軽やかな構成は、Brillia Art Award Cubeのガラス空間と呼応し、作品と都市環境、そして鑑賞者との関係性を豊かに生み出していました。コンセプトを単なるアイデアに終わらせることなく、素材、構造、空間体験へと丁寧に結びつけた完成度の高い提案であり、日常の中に潜む新たな価値を芸術表現として提示した点を高く評価します。

建築から抜き出し差し出されたガラスのCUBEに、この月面探索車ムーンバギー系類が高度な精度で音をたて着地合致した。
搭載物はサンタのプレゼントに見える。
ならばこのムーンバギーはルドルフか。
都市の深夜にシャンシャンという鈴の音が上空から聴こえたなら、SAGASに依頼された京橋行きのサンタがミッションをこなしているナウ。
皆んな、人知れず、美しく働いている。

近年、コロナ禍による地球規模のパンデミックや世界各地で続く紛争による渡航制限など、予期せぬ出来事が旅の自由を制約してきた。一方で訪日外国人旅行者数は増加を続け、空港や客船ターミナルには旅の記憶が広がっている。
本作品は、そうした旅の記憶と時間を可視化したものであり、鑑賞者はそこに様々な物語や背景を見出し、想像力をかき立てられるだろう。