Brillia Art
Brillia Art Award

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No.28 
Brillia Art Award Cube 2026作品・アーティスト紹介

TITLE:
Swarm
CONCEPT:
虫は単体なら愛らしく見えることもある一方、集団になると一気に嫌悪へと転じます。
その感情の変化がどこから生じるのかを探るため、本作では飴に群がる蟻をモチーフにしました。

キラキラと輝く飴の表面を覆う黒い蟻は個が消え、ひとつの塊のように見えます。そこには強い嫌悪と同時になぜか目をそらせず観察してしまう衝動があります。理解できないものを前にしたときに湧き上がる恐怖と興味が入り混じる感覚が本作を作る動機となっています。

繰り返される小さな身体と予測できない動きが生む集合体としての恐怖、その“群れの気配”を立体として提示することで嫌悪と美、拒絶と凝視の境目を探る試みです。

ARTIST PROFILE

つのだ ゆき
<略歴>
2013年
女子美術大学 メディアアート学科卒業
2015年
初個展 神楽坂「硝子の風景」
2020年
角川武蔵野ミュージアム「荒俣ワンダー秘宝館」提供
2020年
伊賀赤井家住宅個展「捕食-HOSYOKU-」
2023年
京都市立美術大学「Slow Culture #kougei」

ARTIST VOICE

Q:応募のきっかけは?
母校の記念展示にお声がけいただいた際、美術館関係者や美術に携わる方々にもっと作品を見ていただきたいと思ったのがきっかけです。
その中で、東京の中心という多くの人が行き交う場所に作品を置くことができたら面白いと思い、応募しました。

Q:どうやって企画を考えたのですか?
飴は、美しく可愛らしい、誰にとっても身近なモチーフです。
一方で、そこに大量の蟻が群がることで、美しさの中に不気味さや違和感が生まれます。
私はその美しさと気持ち悪さが同時に存在する状態を表現したいと思いました。
また、1000匹を超える蟻を用いることで、群れが持つ圧倒的な存在感や、数が増えるほど増していく嫌悪感を表現しています。

Q:作品に込めた想いを教えてください。
この作品を見た時、まず「うわっ」と思ってもらえたら嬉しいです。
実際に蟻や昆虫が苦手な方であれば近づきたくないと感じるかもしれません。
しかし、立ち止まって見てみると、1匹1匹の形やガラスならではの透明感、光の反射など様々な表情が見えてきます。最初は嫌だったものが気づけば少し面白く見えていたり、美しく感じられたりする。そんな感情の変化を体験してもらえたら嬉しいです。

Q:実際に作品を完成させた感想をお聞かせください。
まずは蟻を1000匹作り切れたことに達成感があります。
大変なことも多かったですが、その中で最後まで作り上げられたことは自分自身の大きな自信になりました。この経験を次の作品にも繋げていきたいと思っています。

EVALUATION

小山 登美夫
(小山登美夫ギャラリー株式会社 代表取締役/日本現代美術商協会副代表理事)

いやー、ゾクゾクする作品が八重洲に存在すること自体、違和感があって面白いです。
ちょっとトロけたキャンディーにアリが群がる光景。道端でこんな状況を見たことがある人は多いと思うのですが、アリが実際より大きくなって、ぞろぞろと並ぶ様は視覚と触覚に強く訴えかけます。
遠くからみると一瞬何があるのかわからないところを、覗き込む街の人たちの当惑した表情が目に浮かびます。

橋本 和幸
(東京藝術大学 美術学部長・美術研究科長 デザイン科 教授 兼 芸術未来研究場 瀬戸内海分校プロジェクトリーダー)

一匹の蟻を見ているときと、無数の蟻が群れているときでは、同じものを見ているはずなのに、私たちの感じ方は大きく変わります。この作品では、その一匹一匹がガラスによってつくられていることにまず惹かれました。
近づいて見ると、小さなガラスの蟻は光を受けて輝き、驚くほど繊細で美しい。それを一匹一匹つくり続ける、気の遠くなるような作業の積み重ねが、やがて群れとなり、台座を越えて空間全体へと広がっていきます。その反復する手仕事そのものが、作品に独特の密度と気配を与えているように感じます。
美しさと不気味さ、近づいて見たい気持ちと少し離れたい気持ち。ガラスという素材の美しさと、群れることで変化する私たちの感覚。その間を行き来しながら、見ることのおもしろさをあらためて感じさせてくれる作品です。

遠山 正道
(株式会社スマイルズ 代表/株式会社 The Chain Museum 代表取締役)

メディアアーティストとして視覚伝達に携わってきた作家らしく、"伝わり方"そのものが"優位"であり、そこから"モノ=作品"に還元され構築されていくのが面白い。
出来上がった作品は、ポーズボタンで定着されたのだろうか。
私が、再生ボタンに触れるのを想像すると、作家の思うツボに気持ちよく"ハマる"のだろう。
その時、どのような音が再生されるのか。
どのような記憶が屹立するのか。
気づいた時には、もうすっかり作家のツボにハマっている。

坂本 浩章
(公益財団法人彫刻の森芸術文化財団 東京事業部 シニアディレクター)

精巧に作られた蟻がガラスでできていることを知ってから、どれほどの作業を経て何匹制作されたのだろうと思いを巡らせていたが、実際の作品を目にしたとき、そのクオリティーに目を奪われた。細部に至るまで再現されており、それぞれ表情が異なることで、より実物に近い動きが表現されている。作者に聞いたところ虫は嫌いだったとのことだが、造形として捉えれば虫ほど完成度の高いかたちはなく、作家はその姿に魅了されたのではないかと想像した。
普段の生活であれば見落としがちな存在だが、ガラスケースの中の作品を見つめながら、「個であること」「群れであること」について改めて見つめ直す機会となった。

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